付録:インターネット第5層の「万里の長城」

 

 

付録:インターネット第5層の「万里の長城」

はじめに

現代社会は、インターネットの利便性を享受する一方で、その基盤の脆弱性から、年間8000億円もの金融被害に晒されています。この危機を乗り越えるため、私たちは既存の「事後対策」ではなく、「根本からの防衛」を提言します。

現状と課題

多くのサイバー犯罪は、インターネットの第6層(プレゼンテーション層)や第7層(アプリケーション層)で発生しています。これは、通信事業者や金融機関が、セキュリティを上位のアプリケーション層に委ねていることに起因します。この責任の曖昧さが、被害の拡大を招いているのです。

提言:金融専用セッションの構築

私たちは、この問題を解決するため、通信事業者と金融機関の連携による、固定・モバイル共通の「金融専用セッション」の構築を提言します。これは、インターネットの基盤である第5層(セッション層)に、以下の究極のセキュリティと安定性を備えた「万里の長城」を築くものです。

  • 完全なセキュリティ: 金融取引のデータは、一般のインターネットから完全に隔離された閉域網を経由します。
  • 高い安定性: 災害時にも途切れない通信を物理的に支える、複数の通信経路を同時に利用します。

第5層で守ることの意義

このアプローチは、単なる技術論ではありません。

  1. 国民の負担軽減: 国民は、複雑なセキュリティ対策を意識する必要がなくなります。
  2. 責任の明確化: 通信事業者は、単なる「土管」の提供者ではなく、「安全な通信路」の提供者としての責任を明確に負うことになります。

この提言は、年間8000億円もの金融被害を、下位層での根本的な対策によって防ぐための、費用対効果の高い、唯一無二の解決策です。

 

 

PDFダウンロード Japanese_English_Appendix_ The Great Wall on the Fifth Layer of the Internet